2021年4月9日 【外務委員会】アジアの経済連携協定について問う

4月9日(金)、衆議院外務委員会で、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定について質問しました。私はRCEP協定の重要性については理解したうえで、①米国の政権移行期になぜ締結を急ぐのか?②人権外交という視点で中国やミャンマーという参加国に問題はないか?③中国を念頭に、ルール運用に懸念はないか?等を質しました。③は時間切れです。

以下に未定稿を載せます。動画はこちらからhttps://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=51879&media_type=

○阿久津委員

立憲民主党の阿久津幸彦でございます。本日は、大変短い時間ではありますけれども、RCEP協定の重要性については十分に理解した上で、①米国の政権移行期になぜ締結を急ぐのか、②人権外交という視点で考えた場合、中国やミャンマーという参加国に問題はないのか、③中国を念頭にルール運用に懸念はないのかなどについて、時間の許す範囲でお尋ねしたいというふうに考えております。
それでは、伺いたいと思います。間もなく、米国バイデン大統領と初めての日米首脳会談が行われます。米国の対中政策、対北朝鮮政策、日米韓の役割分担、日米豪印、クアッドへの期待、米国とTPP復帰など、RCEP協定に重大な影響を与える米国の政策に変化の兆しを予見することができます。
これらの安保政策と通商政策などの変化はRCEP協定にどのような影響をもたらすのか、お考えをお伺いしたいと思います。

○茂木国務大臣

来週、菅総理、ワシントンを訪問して、最初の外国首脳としてバイデン大統領と首脳会談を行うわけでありますが、既に電話会談等々も行ってきておりますし、日米間では外相会談、更に2プラス2、こういったことも行ってきておりまして、かなり意識が合った状態で会談できると思っております。
日米同盟、これは今、日米二か国の関係にとどまらず、地域、そして世界の平和と安定の礎になっている。さらには、自由で開かれたインド太平洋を実現していく。そのために、日米豪印、こういった枠組みであったり、さらにはこれをASEAN、様々な国々に広げていく、こういったことでも完全に考えが一致をしているところであります。
恐らく、その一つは、北朝鮮政策、ここについても、基本的な考え方、非核化の問題、さらには拉致の問題、一致をいたしておりますが、北朝鮮政策については、今米国がまさに政策のレビューの真っただ中でありまして、そこの中でどういう議論ができるかということだと考えております。
また、通商政策について、まずは国内の労働者、これを米政権として重視をして、それまで新しいの通商協定は結ばない、こういう方針だと思っておりますが、同時に、このインド太平洋地域の経済秩序、これをしっかりさせていくということは極めて重要だということにおいては一致をしておりますので、その点はそごはないのではないかな、こんなふうに考えております。
このRCEP協定についても、既に、様々な協議を進める中で、米国側についても、日本の政策、外交政策、経済政策も含めて説明する中で、この進行状況等々についても説明をしてきたところでありまして、そんなに驚きはないのではないかなと思っておりまして、日米首脳会談について、私は、いい雰囲気の中で、またいい成果も出すことができるんじゃないかなと思っております。
先日、岡田委員から、最初の首脳会談だから、外務大臣もついていった方がいいんじゃないかな、こんな御指摘もいただきまして、岡田外務大臣は、菅(かん)総理のときについていかれたと。考えてみたら、私も菅(かん)総理だったら行ったかな、そういうふうに思ったんですが、失礼です、菅(すが)総理だったら大丈夫じゃないかなと思います。

○阿久津委員

アメリカがどんなふうに日本のRCEP参加を理解しているのかなというところが非常に心配だったものなんですけれども、今のお話を伺う限りは、大体、おおむねオーケーなのではないかなということと理解させていただきました。
ただ、大臣、これ、日本がRCEPから受ける恩恵も大きいと思うんですよ。ただし、初めての経済連携協定参加の中国が受ける恩恵の大きさというのは計り知れないですから、そこのところ、是非、微修正含めて、菅総理にもアメリカでちょっと議論をしていただければなと。
私が特に心配しているのは、今、大臣は大丈夫だとおっしゃったんですが、自由で開かれたインド太平洋政策の足を引っ張ってしまわないかなという懸念を勝手にしているわけなんですけれども、その辺の心合わせ含めて、よろしくお願いしたいと思います。
ついでに一つお伺いすると、先ほどから話が出ているTPPあるいはTPP11なんですけれど
も、米国の加入あるいはTPPへの復帰を強く迫るお考えというのはございませんでしょうか。

○茂木国務大臣

これは、トランプ前政権の時代、私はカウンターパートとしてロバート・ライトハイザー通商代表と八回にわたって交渉してきたと思うんですが、そういった議論の中でも、今、経済のグローバル化が一番進んでいる、また先端技術を一番持っているのも米国ではないか。このTPPという最先端の協定に加わることによって、これは米国の雇用にも、そしてまた経済にもプラスになるんだ、こういう話はしたんですが、なかなか理解を得ることはできませんでした。
今、バイデン政権、様々な形で同盟国、同志国との協調、こういったことを言いながら、例えば、WHOにもパリ協定にも復帰をする、また、イランとの間でも様々な関係を模索するということでありますけれども、また、通商政策について言いますと、これについてはレビュー中でありまして、国内も、これは日本もそうでありますが、アメリカも相当コロナで傷んでいるという状況で、まずは、国内の経済、労働者をどうするのか、こういう立て直しを行ってから通商政策については考えるのではないかなと思っております。
いずれにしても、先日も、キャサリン・タイ、新しい通商代表とも話させていただいて、日米間で通商問題も含めて緊密に意思疎通をしてまいりたいと考えております。

○阿久津委員

次にお尋ねしたいのが、時間軸の問題なんですけれども、バイデン政権の誕生、政権移行期ですね、それから、インドの参加見送り、さらに、最近の中国の大国らしからぬ振る舞い等を考慮すると、RCEP協定の国内承認手続や発効を、あるいは先ほどの各党の議論から見ても、
急ぐ必要はないと。私は遅らせるべきだというふうに思うんですが、そこのところはいかがでしょうか。端的にお願いいたします。

○茂木国務大臣

我が国、TPP11から始まって、保護主義が台頭する中で、自由貿易の旗手として様々な協定というのを主導してきた、リードをしてきたわけであります。このRCEP協定にしても、日本と共にASEANが交渉をリードして署名に至った、こういう経過も大きいと思っております。早期に、この協定、国内でも御承認をいただき、そして発効させたいと思っております。
いろいろ細かい問題も出てくるんですけれども、恐らく、議長国を決めるというのも、批准した順番になってくるということが多いんですね。やはり、先に批准をした国が一つの協定ではリーダーシップを執れる、こういったことも考え、また、これまでの経緯も考えたときに、一貫して、やはりこういった経済連携協定を日本がリードする、こういう姿勢は貫きたい、このように思っております。

○阿久津委員

次に、人権外交視点で伺います。我が国は、自由、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重を前提に、国際秩序や国際法の諸原則に基づいた外交を展開しているはずです。
そんな中で、ミャンマーの参加容認についてはいかがなんでしょうか。御存じのとおり、今も自国民への暴力や殺りくを続けるミャンマー軍による政権をRCEPに受け入れてよいのかどうか、率直にお伺いしたいと思います。

○四方政府参考人

お答え申し上げます。RCEP協定は、ASEAN、日中韓、豪州、ニュージーランドの十五か国が署名したEPAでありまして、我が国としては、この地域の望ましい経済秩序の構築に向けた重要な一歩になると考えております。
ミャンマーにつきましては、我が国は、事案発生以来、ミャンマー国軍に対して民主的な政治体制の早期回復を強く求めてきております。我が国といたしまして、ミャンマーにおけるクーデターの正当性を認めることはございません。いずれにしましても、ASEAN諸国を始め、
ほかのRCEP参加国とも緊密に意思疎通しながら、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。

○茂木国務大臣

今、大体、ミャンマーのこのRCEPについてお話をさせていただいたんですが、今のミャンマーの状況から考えて、国内体制を整えてこの国内手続を進める、こういうことは非常に困難だと思っております、率直に言って。日本としては、まず、この事態の鎮静化を図り、早く民主的な体制になる、そして早く民主的な体制に戻った中で批准をしてほしい、こんなふうに今考えております。
当然、こういった協定をやる上では、いろいろなケースを想定するということはあり得るんだと思いますけれども、ミャンマーについては、RCEPよりも、まずは暴力の停止、こっちから始めるべきだと思っています。

○阿久津委員

中国は、ミャンマーの参加、別に反対しないと思うんですよ。
それで、最後に、もう私だけ一方的に言って終わりにしたいと思うんですが、今回、参考人としてお声かけはできなかったんですけれども、同志社大学法学部の寺田貴教授は、本年二月一日付の提言、API地経学ブリーフィング、ナンバー三十八において、習近平国家主席のこうした言葉を引用しているんですね。国際的なサプライチェーンを我が国、つまり中国に依存させ、供給の断絶によって相手に報復や威嚇できる能力を身につけなければならない、そういうふうに習近平国家主席はおっしゃっているんですね。寺田先生は、この言葉を引用しながら、中豪、中国とオーストラリアの関係悪化の波紋ということで、日本も無関係じゃないよと警鐘を鳴らしております。
これだけ、是非、委員の皆様方にも御理解いただいて、注意深くこのRCEPを私たちがチェックしていかなければならないなということをお願いして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。