2021年3月10日 【外務委員会】コロナ対策、米バイデン新政権等について質問

3月10日、衆議院外務委員会で、茂木外務大臣に質問。

①立憲民主党の外交姿勢、②新型コロナ、③バイデン政権の外交政策と日米関係、④日中関係など。中国海警法等の動きもあり、我が国のRCEP参加への懸念・課題も質しました。

少し長くなりますが、質疑全文を掲載します。(未定稿)

 

○阿久津委員

立憲民主党・無所属の阿久津幸彦でございます。
米国では、共和党のトランプ大統領から民主党のバイデン大統領への政権交代が行われました。そして、三月三日、バイデン政権は、米国の国家安全保障及び外交政策に関する国家安全保障戦略暫定指針を発表しました。
日本でも、私ども立憲民主党は、政権交代を実現したときのために、外交、安全保障の基本政策を作成中です。冒頭、その総論部分、ごく一部だけお伝えしたいと存じます。
国際協調と自由、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重を前提に、国際秩序や国際法の諸原則に基づいた積極的な平和創造外交を展開します。
健全な日米同盟を外交、安全保障の基軸に多国間協力を推進し、平和で安全なアジア太平洋を実現します。抑止力を維持しつつ、米軍基地の負担軽減や日米地位協定の改定を進めます。
あくまで基本政策原案の一部でございますけれども、私自身は、大枠を見る限り、政権交代しても外交の継続性は十分維持できると考えております。そんな思いでこれからも外務委員会に臨ませていただきたいと考えております。

さて、質問の方に移らせていただきます。
まだ世界レベルで新型コロナウイルスの感染症問題が収まりませんので、冒頭は、新型コロナ関連についてお伺いをしたいと思います。
途上国を含めたワクチンへの公平なアクセスの確保を全面的に支援と述べていますけれども、我が国ができることは何とお考えでしょうか。

○茂木国務大臣

新型コロナ感染症、この世界的に拡大している感染症終息のためには、先進国だけではなくて、途上国も含めて、ワクチンの公平なアクセスの確保であったりとか普及を加速して
いくことが極めて重要であると考えておりまして、ちょうど一か月前、二月九日、日本として、国際的な枠組みでありますCOVAXファシリティーの途上国向けの枠組みへの拠出を増額して、合計二億ドルを拠出することを表明をしたところであります。
我が国は、国内のみならず世界全体で安全で有効なワクチンへの公平なアクセスが確保されることが極めて重要と考えておりまして、引き続き、COVAXファシリティーを含みます国際枠組みに対してできる限りの貢献をしていきたいと思っておりますし、また、この重要性というのは国際社会、各国にも訴えかけていきたいと思っております。
加えて、COVAXの枠組みにおきましては、ワクチンを途上国に届ける、その後、途上国内のコールドチェーン、これが必ずしも整備をされていない、冷凍設備であったり運搬手段、こういった整備が必ずしも十分手当てもされていないことから、このような多国間枠組みを補完すべく、これまでの長期の経験も生かして、ワクチンを一人一人まで届けるラストワンマイル支援、これをかつてないスピードで実施をしていきたいと考えておりまして、昨日決定をしました東南アジア、南西アジア、太平洋島嶼国に対する約四十五億ドルのコールドチェーン整備のための緊急無償資金協力はその第一歩であると考えております。
今後、新型コロナ対策支援として既に供与しました医療器材や緊急支援円借款も活用しつつ、これまで我が国がJICA専門家等を派遣して能力構築を行ってきた各国の中核病院等、これを拠点としながら、きめ細かい支援によって効果的なワクチン、ワクチン関連の支援を実施をしていきたいと思っております。
ワクチンを生産をする、そしてそれをできるだけ多くの国に公平に分配をしていく、さらに配った後に実際にこれを接種してもらう、こういうそれぞれのプロセスにおいて日本として何ができるのか、こういうことを考えながらしっかり対応していきたいと思っております。

○阿久津委員

私も、ワクチン接種環境の整備というのをワクチンそのものと同じぐらい大事だというふうに思うんです。特に日本の場合は、自慢の、NGOと外務省との連携もありますし、NGOもうまく連携して、駆使して、これを是非広げていっていただきたいと思います。
一点だけ。これは質問ではないんですが、私は、やはり、日本が自国製のワクチンを作れなかったのは残念でならないんですよね。
それで、今日は外務大臣というお立場なので、余り横から突っついちゃうといけないので、私も、こうすればよかった、ああすればよかったと感じるところが、なぜ自国製ワクチンができなかったというのはありますけれども、茂木大臣もお持ちだと思います。今日は質問しませんけれども、是非、そういうことも含めて、閣議の中で発言をしていっていただければなおありがたいというふうに考えております。

次の質問に移ります。
外交演説でも、在外邦人等の新型コロナへの配慮について触れてくださっているんですね。新型コロナウイルス感染拡大による在外邦人等への配慮として、何か具体的に検討している支援はあるか、お尋ねします。

○森政府参考人

お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、海外在留邦人の安全確保、支援の重要性は更に高まっております。この中には、もちろん、生活維持への配慮、あるいは高齢者への配慮等も含まれておると考えます。
先般承認いただきました令和二年度第三次補正予算におきましては、新型コロナ感染症の感染拡大により生活に支障が出ている海外の在留邦人、日系人を支援するため、在外の日本人会、日本商工会議所、日系人団体等を通じました感染拡大防止、あるいはコロナ禍で厳しい状況にあるビジネスの継続等を目的といたしました事業への支援などへの予算を計上しております。
これらの予算を有効に活用して、御指摘いただいた諸点についても取り組んでまいりたいと思っております。

○阿久津委員

国ごとで地域状況はいろいろ違うというふうに思います。是非、きめ細かな配慮、御支援をお願いしたいというふうに思います。
続けて、今度は日米関係について御質問させていただきたいと思うんですが、HNS、ホスト・ネーション・サポートの在日米軍駐留経費負担に係る特別協定の改正に当たり、受け止め方としては、バイデン政権はトランプ流を改め現行水準での合意を受け入れてくれたみたいな、大方の見方ではないかと承知しております。
ただ、私はやはり、日米同盟がウィン・ウィンの関係にあること、特に、中国が軍事的、経済的に強大化する中で、日米同盟の米側、アメリカ側のメリットについても丁寧に、繰り返し繰り返し、伝え過ぎるぐらいにアメリカ側に伝えていくべきだというふうに考えているんですが、そこのところをお尋ねしたいと思います。

○茂木国務大臣

具体的な交渉の合意に至るまでの詳細なプロセスにつきましては、外交上のやり取りでありますので控えたいと思いますが、当然、これは日本側だけが裨益をする、こういう協定ではないわけでありまして、これによってアメリカ側がどういう利益を享受できるのか、こういった
こともしっかり協議の中では議論をさせていただいているところであります。
この現行協定の有効期限が三月末でありまして、それも見据えながら協議を進めてまいりまして、その結果、日米両政府は、現行の特別協定を改正して、有効期限を来年、令和四年の三月末まで一年間延長する改正議定書に関して合意をして、二月二十四日には署名を行ったところであります。
インド太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟及び在日米軍、これは、我が国の防衛のみならず、インド太平洋の平和と安定のためになくてはならない存在、これは日米共通の理解だと思っております。その中で、在日米軍駐留経費というものは、在日米軍の円滑かつ効果的な活動であったり、米軍の地域への前方展開、これを確保する上で重要な役割を果たしてきていると考えております。
私からブリンケン長官に最初に電話をしたときも本件を提起するなど、日米双方が真摯に交渉を重ね、米側にも意義について十分説明できたと思っております。結果として、バイデン政権が発足してこれだけ早いタイミングで合意に至ることができた、このことは、日米同盟に対する両国の強いコミットメントを示すとともに、日米同盟の信頼性を高めて、それを国際社会に対して発信する、こういった意味でも高く評価をされるものだと思っております。
政府としては、これは年度末に切れるわけでありますから、年度末までのこの議定書の発効を目指して、国会での速やかな御審議をお願いしたいと思っております。

○阿久津委員

これは、たしか韓国との協定は切れたままになっているんですよね。その一方で、日本がきちっとした、議会でも真摯な議論が展開されて、それを経てきちっと予定どおりというか、
理想的な時間軸の中で承認されるということを内外に示すことは私も大事だというふうに考えております。
一点だけ申し上げます。在日米軍の駐留経費負担が幾らであるか、幾らが相場なのかというのは、これは非常に難しい問題だと思っております。是非科学的なデータに基づいた検証は常に怠らずにお願いできたらというふうに、これはお願いでございますので、他国との比較だけではなくて、実際に人件費を含めて科学的なデータに基づいた検証をしていって、どれぐらいが適切なのかということは是非見ていただければと思います。

次の質問に移ります。
米国バイデン政権の誕生に伴う米国外交の変化をどのように認識し、その変化にどう対応し、何を期待するのか、お尋ねしたいと思うんです。非常に現時点ではアバウトな質問になってしまっているんですけれども、これまでの間だけでもバイデン政権は世界に随分多くのシグナルを送っていますし、バイデン大統領がどんな世界観で、修正という言葉がいいかどうか分からないんですが、前政権から引き継いだ後、アメリカを中心とする世界の秩序なりルールなり平和をどういうふうに守ろうとしているのか。ここまでの間でも大分分かるところがあると思うんですが、是非大臣の方からお答えいただきたいと思います。

○茂木国務大臣

バイデン政権の外交政策のレビュー、また続いているところでありまして、確たるものが表に出ているということではありませんが、米国では、前政権、トランプ政権が米国第一主義の下、どちらかといいますとスタイルとしてはトップダウンで様々な政策を進めて、そこの中
で、外交面では二国間、バイの交渉、これを重視してきた。典型的なのは、TPPから離脱をしてやはりバイでそれぞれやるんだということで、USMCAであったり、また日米貿易協定であったり、様々な形を進めてきたりもしたのでありますが、これに対して、バイデン新政権、今のアメリカの現状を考えますと、コロナ対策であったりとか人種問題、内政を重視しなければいけない、しかし、内政を重視しつつ外交面では国際協調路線を志向している、このように言われていると思います。また、ブリンケン国務長官も同志国、有志国との関係を強化する、こういう考えを示しているところであります。
私自身、バイデン政権の発足後、日米外相電話会談、二回既に行っておりますし、また日米豪印の四か国、クアッドの電話外相会談を行いまして、ブリンケン国務長官との間では、特に緊密な意思疎通を行うことで様々な課題への対応につきましてしっかり連携できていると感じているところであります。特に、自由で開かれたインド太平洋の実現への取組、さらに中国への対応を含めて、地域や国際社会の課題への対応の大きな方向性について、私とブリンケン長官の間でしっかりすり合わせができていると考えております。今後も、菅総理とバイデン大統領、私とブリンケン国務長官など、様々なレベルで日米間の連携を図りながら、日米同盟、より一層強化をしていきたいと思っております。
やはり一つは共通の価値に基づく国際秩序、こういったものをつくっていく、こういったことで主導をし、米国としてリーダーシップを発揮し、またインド太平洋についてもしっかりコミットするんだ、そして間違った行動に対してはきちんとシグナルを送る、この方向性は明確になってきているんだと思っております。

○阿久津委員

大臣、その最後のお言葉のまとめで、私も賛成なんですけれども、より踏み込めれば、アメリカも全部ができるわけではないというふうに思っています。ですから、日本なりに補完できる部分、本当にアメリカも喜んでもらえる、世界の安定にもつながるという貢献ができればな
おすばらしいなと思っておりますので、それに関わるような具体的な話も幾つか伺っていきたいというふうに思っています。

次に移ります。
そこで、一つ課題なのが、中国主導の地域的な包括的経済連携、RCEP協定への日本の参加には慎重な見極めが必要というふうに考えているんですけれども、別に立憲が現時点で賛成だ反対だと言っている意味ではないです、しかし、中国を経済面で更に強大化させ、またインドが参加を見送る中で、RCEPへの日本の先行加入は、自由で開かれたインド太平洋の実現を妨げる懸念はないのかどうか、お尋ねしたいと思います。

○茂木国務大臣

まず、RCEPについてでありますが、長年にわたって交渉を進めてまいりましたが、私もいろいろな通商交渉に関わってきたり見てきたりしておりますけれども、RCEPを中国が主導しているという見方は恐らく余り関係国であったりとかほかの国際社会からもないのでは
ないかな、こんなふうに今考えておりまして、法の支配に基づきます自由で開かれたインド太平洋の実現を行っていく上では、自由で公正なルールに基づく秩序というのは極めて重要だと考えております。
この点、RCEP、これは、物品市場アクセスの改善のみならず、これまでの例えばTPPであったりとか日・EU・EPAと若干異なるのは、かなりここの中にはメコンの諸国なんかも含まれておりまして、発展段階や制度の異なる様々な国々の間で知的財産であったりとか電子商取引等の幅広い分野でルールを整備する経済協定でありまして、自由で公正なルールに基づく秩序を形成する一助になるものだと考えております。
御案内のとおり、十六か国で交渉してきた、ところが、最終的に、インドが幾つかの国内事情もあって参加をできないということになって、十五か国での署名ということにはなってしまいましたが、まずはRCEP協定の早期発効、これを実現させた上で、インドが入ってこられるという余地は残したところでありまして、インドの復帰を内側から働きかけつつ、RCEP協定を通じてインド太平洋地域における経済秩序の形成に主導権を発揮をしていきたい。
当然、中国であってもほかの国であっても、このRCEPに入ったら、RCEPで定められたルール、これをしっかり守っていく、この履行は確保していきたいと思っております。

○阿久津委員

私は、どうしても中国の存在が余りに大きいので、このRCEPの中で中国を無視して考えられないんですけれども、違う角度からお話をします。
米国バイデン大統領は、二月二十四日、半導体など重要部材のサプライチェーンを見直す大統領令に署名しました。アジアなどの同盟国や地域と連携して中国に依存しない調達体制をつくろうという試みだと思うんですけれども、このバイデン政権の戦略にもRCEPというのはかみ合うんですかね。お尋ねします。

○四方政府参考人

お答えいたします。
バイデン政権が、サプライチェーンの見直しということで、半導体等サプライチェーンの、経済安全保障という観点から見直しを行っているということについて承知をしております。日米関係の観点からも、我が国にとっても、半導体等の重要な物資の確保というのは重要でございますので、そういう観点から、今後、日米連携ということを進めてまいりたいと思っております。
別途、RCEP協定につきましては、発効しましたら、先ほど茂木大臣からお話がありましたとおり、中国を含めてRCEPのルールを実施していくということでございまして、その中では、知的財産権あるいは投資関連のルールがございますので、それを、関係国、例えばオーストラリア、ニュージーランド等とも連携しながら実施をしていくというふうに考えております。

○阿久津委員

最後の御指摘のルールの部分は、私もまさにそうだと思うんですが、そのRCEPのルールをきちんと中国に本当に守らせることができるのかどうかを、是非、RCEPの質疑も今後ございますので、その中でしっかりと確認していきたいと思います。
一点だけちょっと、済みません、私の正確な情報ではないんですが、昨日、議運のところに官房副長官から、RCEPの資料について印刷に欠落があったということで謝罪があったという話が届いているんですが、これはちょっと、いろいろなうわさがうわさを呼んで、十数か所も誤訳が見つかったとかいろいろ言われているんですが、この件を御存じの方、いらっしゃいますか。

○四方政府参考人

お答え申し上げます。
RCEP協定でございますけれども、国会に提出する条約の中で、幾つかの部分につきまして、和訳におきまして、重複あるいは若干の欠落ということがございました。
それにつきましては、議運の方でも御説明をいたしまして、こういうことが再発しないようにということで、外務省といたしましても、これまで以上にこういうミスが起こらないように努めてまいるということで、努力をしてまいりたいと思っております。

○阿久津委員

これは十分御存じのことだと思うんですけれども、誤訳、欠落等があると、全てこういう条約、協定は原文で判断される。中国は特にその辺、神経質ですから、中国も加入するRCEPには特に注意をいただかないとつけ込まれますから、是非その辺、重々お願いをしたいし、ま
た、党としてのいろいろな判断も出てくるかもしれません。

次の質問に移ります。
がらっと変わって、日本が政治的、経済的に安定すればするほど、米国には、日本は手のかからない同盟国の優等生に映りがちと思われる。米国バイデン政権に認識してもらうべき我が国を取り巻く外交上の諸課題は何かということをお尋ねしたいと思うんですが、実はこれは、グレン・フクシマさんがいろいろなところでおっしゃっていることなんですね。
グレン・フクシマさんは、バイデン政権は恐らくヨーロッパとアジア、アジアの最大国は日本だ、この二つをかなり重視しながらバランスを取り直すのではないかという持論を持たれていて、日系人ということもありまして、ヨーロッパのバイデン政権への売り込み、接触が物すごいから、日本も頑張りなさいよという御厚意の言葉をおっしゃってくれているんだというふうに思うんですけれども、是非御質問にお答えいただければと思います。

○市川政府参考人

お答えいたします。
米国内、様々、日米同盟に関するいろいろ見方はあろうかと思いますが、そのお立場によってあろうかと思いますけれども、私ども、やはり日米同盟が今ほど必要とされている国際環境はなかろうというふうに思っておりまして、そういう下で、日米間、様々なレベルで意見交換しているところでございます。
まさに、日本にとって日米同盟は外交、安全保障政策の基軸でございますし、また同時に、米国にとっても、インド太平洋地域に関与していく上で必要不可欠な同盟という認識であると思います。
そういう認識に立ちまして、今後とも地域、国際社会の諸課題に緊密に連携していく考えでございますが、とりわけ、このインド太平洋、非常に厳しい安全保障環境でございます。
そういう中にあって、日米間で非常に緊密に議論してございますのは、やはり、まずは同盟、日米同盟の抑止力、対処力の強化が必要であるということ。中国、北朝鮮などへの対処、あるいは自由で開かれたインド太平洋を推進していくこと、そのために、日米を基軸としてその他のパートナー国との協調を更に推進していく、そういうことが重要だと思っていますし、更に言えば、日米、地域を超えてグローバルな課題について重要な責任を有しておりますので、新型コロナ対策ですとかポストコロナのルールづくり、気候変動問題などへの対応、こういったグローバルな諸課題についても日米間できっちりと対応していく必要があるということで、日々努力をしているところでございます。
以上でございます。

○阿久津委員

グレン・フクシマさんによれば、アメリカ側から見るとアジア最大の同盟国は断トツ日本なわけですから、日本から言われれば必ずそれなりの時間を割いて様々な交渉に臨むはずだ、話に臨むはずだ、だから、そこのところは是非遠慮なくやってほしいと。
それから、懸念だけ一つ、ちょっと言いにくいことなんですけれども、茂木大臣に申し上げておきたいと思うんです。
グレン・フクシマさんが、余計なお世話だと言うかもしれないんですけれども、分析ですよ、昨年の大統領選の前にされた分析でいうと、興味深い指摘をされていたんですね。自民党、官僚、経済界、自民党に近いジャーナリストや学者はトランプ再選を明らかに希望していた、これが事実だとしても、バイデン政権との課題共有はしっかりやってもらいたいと思いますので、一言、当たり前のことだということをおっしゃっていただければと思います。

○茂木国務大臣

グレン・フクシマ氏とは昔から親しくて、率直に話ができる関係でありますけれども、もし機会があったら、その点は心配なくと、そのように伝えたいと思います。

○阿久津委員

次に、中国の問題に、時間がなくなっているんですが、移らせていただきたいと思います。日中、日台関係まで行ければいいと思うんですが、日中関係の現状認識を伺いたいと思います。
政府は、日中関係において戦略的互恵関係という表現を使わなくなったと思うんですが、その理由を教えてください。また、現状の日中関係を端的に表す最も適切と思われる表現は何か、つまり、戦略的互恵関係をもう使わないのであれば、それに替わる何かいいワーズはございますか。

○石月政府参考人

お答えいたします。
戦略的互恵関係とは、国際社会の平和、安定及び発展に対して責任を負う日中両国が、将来にわたり、二国間、地域、国際社会等様々なレベルで互恵協力を全面的に発展させ、両国、アジア及び世界のために共に貢献する中で共通利益を拡大し、それによって両国関係を新たな高みへと発展させていく関係でございます。
中国との間では、戦略的互恵関係の考えの下、隣国ゆえに存在する様々な課題をマネージしつつ、大局的な観点から、あらゆる分野で協力を、交流し、推進してくる、こういうことを進めており、こうした考え方には現在でも変わりはございません。
政府としましては、日中の安定は、二国間だけでなく、地域、国際社会のために極めて重要であり、共に責任を果たしていきたいと考えており、中国とは、今後も、二国間、地域、国際社会の諸課題について緊密に連携をしていくことで一致しております。
同時に、中国との間には様々な懸案が存在しております。引き続き、首脳会談や外相会談等のハイレベルの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張して、懸案を一つ一つ解決し、また、中国側の具体的な対応を強く求めていく考えでございます。

○阿久津委員

よく分かりました。
戦略的互恵関係という言葉は生きている、だけれども、今までほどしっくりときていない、私の解釈ですよ。なぜなら、やはり中国が経済的に大きくなり過ぎているからなのかなと思うんですけれども、ちょっと茂木大臣に伺いたいんですが、自由と民主主義、法の支配、基本的人権の尊重を前提とする国際協調主義に基づく戦略的互恵関係という表現はいかがでしょうか。ちょっと長過ぎるでしょうか。感想だけ。

○茂木国務大臣

全体として間違った表現ではないと思いますが、何かの関係を言うのには若干長いような気もいたします。

○阿久津委員

ありがとうございます。
続けて、中国による尖閣諸島周辺海域等における一方的な現状変更の試み及び領海侵入の目的は何と考えるか、我が国の領土、領海、領空を守るための方策は何かという重要な問題についてお伺いしたいと思います。

○石月政府参考人

お答え申し上げます。
尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土です。現に我が国はこれを有効に支配しております。尖閣諸島をめぐる解決すべき領有権の問題はそもそも存在いたしません。
中国側の目的についてお答えする立場にはございませんが、中国側の関連動向については常に注視しております。
中国海警船舶が累次にわたり尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入し、日本漁船に接近しようとする動きを見せていることは誠に遺憾です。断じて容認できません。
尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をするといった海警船舶の活動はそもそも国際法違反であり、中国側に厳重に抗議しております。
力による一方的な現状変更の試みは断じて認められません。特に、中国が東シナ海、南シナ海において一方的な現状変更の試みを継続する中、先般施行された海警法につきましては、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含んでおり、我が国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならないと考えております。こうした我が国の深刻な懸念を中国側に対し引き続きしっかり伝えていきたいと考えております。
また、同盟国である米国及び有志国との連携強化は重要であり、米国を始めとするG7、ASEAN諸国を含む国際社会と連携し、力による現状変更の試みに強く反対していきます。
我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、主張すべきは主張しつつ、今後も冷静かつ毅然と対処していきたいと考えております。

○阿久津委員

今後、中国側が、海警船に積んだ小型ボートで日本漁船を追い回すようなことも想定されると思うんですね。中国海警船が尖閣諸島周辺を中国の領海だと主張して我が国の漁船などに武器を使う事態にはどのように対処されますか。

○石月政府参考人

お答え申し上げます。
中国海警船舶が累次にわたり尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入するということは誠に遺憾でございます。
尖閣諸島の周辺の我が国領域内で独自の主張をするといったことは、海警船舶の活動はそもそも国際法違反でありますし、中国側に厳重に抗議してきているところでございます。
引き続き、我が国としましては、同盟国である米国及び有志国との連携強化、G7やASEAN諸国、国際社会との連携、こうしたことにより、力による現状変更の試みに強く反対していく考えでございます。

○阿久津委員

茂木大臣、このやり取りをお聞きになっていていかがでしょうか。今できる、海上保安庁執行法第七条、警察官職務執行法第七条で、危害射撃を行えるケースということが議論されたりもしていましたけれども、全体として一言いただけますか。

○茂木国務大臣

いずれにしても、我が国の領土、領海、領空、これは断固として守り抜く、固い決意の下、毅然と冷静に対処していきたいと思っております。
それから、戦略的互恵関係を始め、中国との関係をどうしていくか。
これは、先日、長編の歴史ドラマ、日中戦争に至るプロセスとか人間模様を描いた「戦争と人間」、改めて見たんですけれども、どちらの側に立つか、また誰の視点から見るか、日本の側といっても、五大財閥の立場なのか、軍部の立場なのか、また外交官の役をやっている石原裕次郎の立場なのか、それぞれによって変わってきたりもするところはあるんですが、間違いなく日本も、そして中国も、国際社会の中では大国です。大国としての責任を果たしていく、そのことが国際社会からも期待をされ、中国も、そうすることによって中国自身もよくなり、日中関係もよくなる、このように考えております。

○阿久津委員

私もそこのところは同感で、中国を感情的に敵視したり、ただ単に脅威に感じ過ぎてしまうというのはやはり我が国にとっては適切ではなくて、日本もいろいろな中国にないいいものを持っている、そのことも中国にちゃんと伝えながら、中国とよい関係を結ぶ方向性を、ありと
あらゆる手だてを尽くして、これからも求めていっていただくことを最後にお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。ありがとうございました。