2020年5月15日 衆院外務委員会質問「日本の在留外国人とコロナウイルス」

5月15日(金)の衆院外務委員会で、日本の在留外国人の新型コロナウイルス感染などについて質問しました。

質問の趣旨としては、同時期の日本人の感染者数や死亡者数と比較して重症化した患者の割合に差異があるかどうか調べたいと思ったからです。というのも、私は、新型コロナウイルスの感染拡大はある種の災害だと考えています。

災害対策の基本は、社会的弱者への配慮です。社会的弱者には、高齢者や障がいをお持ちの方、子ども、女性、貧困、LGBTQ、そして在留外国人も含まれており、今回も影響が出ているのではないかと危惧したからです。

多様な民族を抱える諸外国の対応は、例えば、イギリスでは、人口に占めるマイノリティの割合に比してコロナ死亡率・重症化率が高く、社会問題になっています。特に、人口割合が全体の7.5%のアジア系住民のコロナ重量化率は14.4%と2倍です。また、人口割合3.3%の黒人は、コロナ重症化率が11.9%となんと4倍です。ちなみに白人の場合は、人口割合86%で、66.4%の重症化率にとどまっています。米国の首都ワシントンでは、死亡者の8割が黒人で、こちらも社会問題化しています。(データは、2020年5月6日 毎日新聞朝刊より)

このような背景から、「日本の在留外国人の感染者数と死亡者数」を質問しました。

厚生労働省によると、「新型コロナウイルス感染症については、感染症法に基づく医師の届け出において、国籍の記載が求められておらず、在留外国人の感染者数及び死亡者数は把握していない。」、という回答でした。

実は、事前に、在留外国人を所管する法務省にも把握しているかどうか確認しましたが、データは取っていないということでした。

厚生労働省からの回答については、外国人だからといって分け隔てしないという趣旨だと思いますが、一方で、治療をするときにはデータとして外国人ということを認識されていると思います。諸外国の例もありますので、やはり在留外国人の感染者数・死亡者数についてもデータをとるという発想も必要だと要請し、厚生労働省から、「今後、外国人の労働者の方々がたくさん入ってくる。感染症法には、国籍を把握する規定がないが、今後のことも考え、その点も留意してやっていきたい。」という回答を得ました。

==============

新型コロナウイルス感染症対策として、国及び行政機関からさまざまな支援策が発表されています。在留外国人も支援の対象となるものについて、その内容について理解が十分でない在留外国人の方を多く見受けます。

具体的には、私の地元板橋には、約40の商店街があり、そこでタイ料理やインドカレーなど各国料理の飲食店を営む外国人の方がいらっしゃいます。そういった方々は、例えば、経済産業省所管の「持続化給付金」や東京都所管の「感染拡大防止協力金」の情報がなかなか届きにくく、届いていても、日本人にさえ煩雑な申請方法が理解できず、SOSが寄せられています。

そういったケースを念頭に、国としてなんらかの対応をしているのか、あるいは都道府県や市町村による在留外国人への支援策の説明の実態を国として把握しているのかを、5月15日(金)の衆院外務委員会で質問しました。

まず在留外国人を所管している法務省から、次の4点の回答がありました。

・法務省「外国人生活支援ポータルサイト」で、関係省庁の各種生活支援策の多言語版にリンクを貼るなどして紹介。

・それらの情報を適宜地方公共団体等に提供。

・地方公共団体が運営する外国人向け一元的相談窓口で、新型コロナウイルスに関する情報提供などを行うために特別な体制をとることを支援するため、外国人受入環境整備交付金の運営経費の交付限度額を倍額まで増額。

・各省庁の支援策のうち、外国人及び外国人受け入れ機関も対象となるものに関する情報を取りまとめ中で、今後、外国人生活支援ポータルサイトで易しい日本語版とともに掲載、周知を図る。

「外国人生活支援ポータルサイト」については、早速対応がなされ、住宅確保給付金や特別定額給付金の多言語のリーフレットが掲載されました!

外国人生活支援ポータルサイトhttp://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00052.html

やはり持続化給付金や雇用調整助成金となると、日本人にも申請の仕方が難しいわけですから、ぜひ多言語の情報発信も検討していただきたいと思います。

東京都は、都独自の支援策である「感染拡大防止協力金」について、英語、中国語、韓国語、易しい日本語で周知しており、相談する窓口も紹介されています。緊急時には、ぜひこういった対応を取るべきだと思い、厚生労働省や経済産業省にも対応を要請しました。