2019年10月23日 外務委員会で茂木外務大臣と論戦

衆議院外務委員会で、自衛隊の中東派遣などについて質問。これは、一歩間違えば 戦闘に巻き込まれる可能性が極めて高い危険な地域に自衛隊派遣を出すと言わざるを得ません。引き続き、ウォッチしていきます。


質疑の様子(動画)はこちらからご覧になれます。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&u_day=20191023

今回は、自衛隊の中東派遣や危険地域へのNGO等の渡航、また二重国籍問題について質問しました。

その質疑について、正規の議事録が整いましたので、公開させていただきます。

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○松本委員長

次に、阿久津幸彦君。

○阿久津委員

立国社の阿久津幸彦でございます。

まず初めに、さきの台風十九号の被害に際しまして、世界各国からも多くの温かいお言葉を賜りました。このことを、この場をおかりいたしまして心から感謝申し上げたいというふうに思います。

まず初めに、中東情勢について伺いたいと思います。

中東地域の平和と安定化に向けて検討が開始された自衛隊の中東派遣について大臣に伺いたいと思うんですが、まず初めに、米国が提唱する有志連合構想には参加しない、独自の活動ということでよろしいんでしょうか。米国の理解は得られているというふうに理解してよろしいんでしょうか。この点、伺いたいと思います。

○茂木国務大臣

自衛隊のアセットの活用に関する具体的な検討、まさにこれは、中東における我が国に関する船舶の安全活動のための、日本としての独自の取組であります。

同時に、この情報収集等によって得られました情報につきましては、米国とも共有をしていきたい。この点につきましては、昨日も夕刻の電話会談でポンペオ国務長官と確認をしているところであります。

○阿久津委員

いずれは海上自衛隊の護衛艦や哨戒機の派遣も検討すると、十月十八日、菅官房長官が表明されておりますけれども、これは、いずれは有志連合構想に参加するという含みがあるんでしょうか。大臣にお聞きします。

○茂木国務大臣

まさにこれからの検討ということになりますが、現時点でそのようなことを想定しているわけではありません。

○阿久津委員

続いて、ちょっと防衛省の方に伺いたいというふうに思うんですが、情報収集が目的のためということなので、日本船舶の防護は任務に含まれていないということでよろしいでしょうか。

○槌道政府参考人

今般、政府方針として示されておりますのは、情報収集態勢を強化するために自衛隊アセットの活用に関する具体的な検討を開始せよということでございます。

まさに具体的な検討はこれからでございますけれども、まず、我々の自衛隊アセットを派遣するのは情報収集のためということであって、現時点において、中東地域において船舶を防護するような必要性が生じている事態ではないというふうに理解をしております。

○阿久津委員

現時点ではということだと思うんですが、もし命令が変更される場合、海上警備行動の発令が行われる場合というのは、これは閣議決定だけでできるんですか。確認です

○槌道政府参考人

あくまでも、現時点で我々が検討を開始いたしますのは、情報収集態勢を強化するためということでございますけれども、あえてということでお尋ねでございますので、一般論として、海上警備行動を発令する場合には、内閣総理大臣の承認を得て防衛大臣が命令をするということでございますので、その内閣総理大臣の承認に当たって閣議決定が必要であるということでございます。

○阿久津委員

続けて、防衛省に伺いたいと思います。

政府の検討する調査研究の活動地域というのは、オマーン湾やアラビア海北部の公海、イエメン沖ということでございますけれども、調査研究は比較的安全な地域と解説する一部報道もありますけれども、安全か危険かということでの活動地域の制約はそもそも設置法の調査研究の概念にはない、法的には調査研究であっても危険地域へ行けるというふうに考えていいんでしょうか。

○槌道政府参考人

御指摘のように、情報収集を行う場合には、その根拠は一般的に防衛省設置法の第四条第一項第十八号における調査研究ということになります。そこにおいては、地理的な要件や、今先生御指摘のありました安全性といった要件が法律上規定されているわけではございません。

その上で申し上げますけれども、情報収集を行うという場合において、情報収集の目的として武器を使用するということは認められておりませんので、我々が情報収集を命じるに当たりましては、そうしたことも勘案しながら、その活動の範囲ですとか任務の内容について大臣から御命令いただくということになろうかと思います。

○阿久津委員

政府が検討する活動地域には、イランの保守強硬派と言われる革命防衛隊の活動地域とか、イエメン現政府の反体制派組織フーシ派の活動地域も隣接すると思われます。一歩間違えば戦闘に巻き込まれる可能性が極めて高い危険な地域に自衛隊派遣を出すというふうに言わざるを得ません。

また、日本の中東への自衛隊派遣は、我が国の中立的な中東外交に疑念を抱かせ、イエメンなど複雑な地域に悪影響を及ぼしかねないという懸念もございます。私は、防衛省設置法に国会承認という歯どめを設けるべきではないかということを政府に提言いたしまして、次の質問に移らせていただきます。

次の質問は難民問題です。

今後の難民問題に対する我が国の戦略、戦術及び現実的な対応としてのNGO活用について外務省にまずお伺いしたいと思うんですが、イエメンの難民支援について。

イエメンでは、まさに人道危機が起こっています。内戦にサウジアラビアやイランが加わり、更に大国も関与して収拾がつかない状況です。その結果、半分以上の建物が壊され、二〇一七年末にはコレラ感染者約百万人、二〇一八年のデータでも、栄養失調は人口の七〇%、二千万人に達する勢いだと。子供の飢餓は五百万人という深刻な状況でございます。

そのイエメンの危険地域の設定及び危険地域へのNGOによる海外渡航について、イエメンは安全か、危険地域のレベルはどんなかを含めて、外務省、お尋ねしたいと思います。

○水嶋政府参考人

お答え申し上げます。

イエメンの危険情報といたしましては、二〇一五年から全土に避難勧告、いわゆるレベル4を発出しております。

NGOの職員でありましても、邦人であることには変わりはございません。この退避勧告、レベル4を出しております地域への邦人NGO職員の渡航についても、安全確保が極めて困難であるということから、容認することは適当ではないというふうに考えております。

邦人保護は外務省の最も重要な責務の一つでありますので、外務省が発する危険情報に従っていただくように政府としても要請をするということになろうかと思います。

○阿久津委員

御答弁のとおり、イエメンは深刻な人道危機に見舞われるとともに、大変危険な地域でもあります。

しかし、イエメンでは、まさに命がけというんでしょうか、国連のWFPや国境なき医師団、セーブ・ザ・チルドレンなどが直接的又は現地スタッフを使った間接的に人道的な活動を続けているのも、外務省は御存じのとおりだというふうに思います。

そこで、あくまで一般論として、イエメンを離れて、NGO、NPO活動や人道支援活動にも大変造詣の深い鈴木馨祐外務副大臣にお尋ねしたいというふうに思うんですが、難民支援に向けたNGOの活用に伴う課題について、きちんとトレーニングを受けたNGO職員と一般人との危険地域の設定を分けることはできないのか、あるいは例外事項として、海外渡航を例外事項をもって運用すべきではないか。危険管理トレーニングを受けた特定のNGOの特定の個人に対しては危険地域への外務省の渡航許可を限定的に出すことはできないものかどうか、将来的な視点も含めて、副大臣の御意見を伺いたいと思います。

○鈴木副大臣

阿久津先生御指摘の点についてお答えをさせていただきたいと思います。

これから、御指摘のように、NGOについてもいろいろな戦略的な形でさまざまな活躍をいただいていく、そういった時代になってくると思います。ついては、従来政府がやっていた分野ということについても、あるいは政府ができない分野についても、大きな役割を担っていただく必要があると思っております。

その中で、やはりNGOそれぞれのキャパシティービルディング、これをきちんとやっていくことが必要だということは我々としても認識をしているところであります。

しかし、一方で、今答弁にもありましたように、海外における邦人の安全確保、これは同時に政府の非常に重要な責務でありまして、そこのバランスをどうしっかりととっていくのかということが大事なことになっていくと思っております。

その中で、今、レベル4という話がありましたけれども、実際、レベル4という退避勧告、そしてあるいはレベル3の渡航中止勧告、こういったところをどう考えていくのかということが非常に大事なことだろうと思いますけれども、今、イエメンの御質問がありましたが、南スーダンということで申し上げれば、今、レベル3のところ、あるいは最近ではレベル4のところについても、いろいろな制約がついた状況でありますけれども、一部活動していただいている、そういったケースも出てきております。

ただ、同時に、我々考えていかなくてはいけないのは、それぞれのNGO、あるいはそのNGOの中でも個人によって当然スキルの違いというものが出てきますし、あるいは、地域によっても、例えば危険な地域の偏在の仕方あるいは危険の、リスクの置かれている状況というものは大変違ってくる状況があります。

ということでありまして、一律にということではなくて、恐らくこれは個別に判断をしていかざるを得ない、そういった問題であろうと思いますし、そういった点はしっかりと、我々も邦人保護という観点をしっかりと、我々としては、責務を果たしていく中で、そうした判断を適切に下してまいりたいと思っております。

○阿久津委員

大変いい御答弁をありがとうございます。

NGOの今後の活動範囲を広げていくというか、役割を増していく中で大きな課題は、もう一つ、万が一、危険地域あるいは危険地域に準ずる地域で、一生懸命、命をかけて活動していて、命を落としてしまったときに、我が国としてどういうふうにその死を捉えることができるかだというふうに考えております。

自衛隊員が名誉の死に陥ってしまったときには、もちろん、国民全体としても敬意を表して扱わせていただくわけでございますけれども、平和あるいは安定という、さまざまな目的を持って、命をかけて現地に向かったNGO、合法的に向かったNGOの方々に万一のことがあったときには、ぜひ、国民全体としてもそれをとうとぶような、そんな姿勢で見守れればいいなというふうに考えておりますので、副大臣、一言あれば。一言で結構です。

○鈴木副大臣

今お話がありましたような事態、これは、あらゆる事態においてそういったことがあっては当然ならないわけですし、そういったことがないように我々としても万全の対策を尽くしてまいりたいと思っております。

その中で、今後、いろいろな活動が広がっていく場合にはという話だったと思いますけれども、しっかり、我々としてはそうした責務をきちんと果たしていくということでお答えとさせていただきたいと思います。

○阿久津委員

ありがとうございます。 鈴木副大臣におかれましては、ここまでで結構でございます。

次の質問に移らせていただきます。

○松本委員長

では、鈴木副大臣、どうぞ。

○阿久津委員

がらっと質問がかわりまして、横田基地の空路について伺いたいというふうに思います。

羽田空港新飛行ルート設定における横田基地空域との関係について、特に新飛行ルートの一部が米軍の横田基地空域に含まれますものですから、そのときの管制権は日本と考えていいのかどうか、その場合、管制権のシフトによる安全性の確保についてしっかりできるのか、御見解を伺いたいと思います。

○河原畑政府参考人

お答え申し上げます。

都心上空を飛行する羽田新経路は、年間の約四割ある南風時、かつ、一日のうち三時間程度運用されるものでございまして、いわゆる横田空域の一部を通過するものであります。

この羽田新経路により横田空域を通過する航空機につきましては、日本側が一元的に管制をすることとしております。

○阿久津委員

私は、管制権というのは極めて大事で、事故に遭わないように確率を減らしていくにはシンプルであるべきだというふうに思っております。米軍が横田空域の一部を別に放棄しているわけではないですから、その米軍のある種役割がそのまま担われる中で、管制権を一時的にシフトして民間機を通すというのが果たして安全なものなのかどうか、疑念が私にはございます。

引き続き、羽田空港新飛行ルートの安全管理については、国交省及び米軍横田基地空域も絡むという観点で外務省にも確認をしながら、私の方でも安全を目指していきたいというふうに考えております。

次の質問に移らせていただきます。

一つちょっと飛ばしまして、国際結婚をされたお子さんたちの二重国籍について茂木外務大臣にお尋ねしたいと思うんですが、実は、河野前外務大臣はこの問題について大変積極的に発言をされまして、国際結婚された方々のお子さんの国籍の問題について、日本の国際的な力というものをふやしていく中で、どういうふうに国籍を考えていくのかというのは、これは外務省だけではなく法務省その他関係府省と連携して考えてまいりたいと思いますというふうに、平成三十年三月二十三日の外務委員会での私とのやりとりの中で答弁されております。

茂木大臣は経済の方に非常に視野が広くて、経済的な意味でも国際結婚をされた方々のお子さんたちの有効活用というものは大事なことだと思うんですが、この点に関して、国際結婚をされたお子さんたちの二重国籍について、茂木新外務大臣の御見解を伺いたいというふうに思います。

○茂木国務大臣

経済的メリットというよりも、例えば大坂なおみさん、見ていても、活躍されている姿は日本人の多くの人が本当に頼もしいと思っていたりとか、非常に優秀な人材が多い、こういう基本的な認識を持っております。

その上で、重国籍者に対します法制度については国籍法を所管する法務省の所管、御案内のとおりでありますが、国際社会において我が国の力を増進していくということは重要でありまして、そのために何ができるか検討していきたいと考えておりますけれども、重国籍につきましては、御案内のとおり、さまざまな意見の方がいらっしゃいます。そういった中で、関係府省庁ともよく考えてまいりたいと思っております。

○阿久津委員

大臣、私は、大臣御存じのとおり、国力というのは人口が減少すると必然的に落ちてきますから、一般的な、国際的なスタンダードで計算するとですね。この日本の人口減少社会というのはかなり深刻なものだというふうに考えております。それを補っていく意味では、最終的には、外国人人材も日本に取り入れていくことをもっともっと積極的に検討しなければならないのかなというふうに思うわけですけれども。

国際結婚をされて、そのお子さんたちというのは、まさに、私たちが教えるまでもなく、日本に対する郷土愛があるし、そして極めて優秀な方々が多いという印象を受けますし、また、愛情というんでしょうか、日本に対する、愛情を日本に、二つの祖国というのか、そういうものも備えた方だと思っております。

そういう方々を、むしろ、一般的な外国人の登用以前に、できるだけ日本の有効な人材として活用していくというのに対して、さまざまな意見があったとしても、また法務省の管轄であったとしても、外務省を含めて各省からもうちょっと積極的にいろいろな知恵を出していただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

○茂木国務大臣

御意見として、個人的に十分理解をいたします。

今後、日本の将来の姿を考えるときに、やはり人口は多い方がいい。ただ、人口をふやすためにというよりも、やはり、日本の魅力というものを増大させていくためにどういう制度が必要か、こういったことも含めて検討していきたいと思います。

○阿久津委員

どうもありがとうございました。

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また、質疑の翌日(10月24日)には、私の質問の一部である「自衛隊の中東派遣」について、朝日新聞と東京新聞に取り上げられましたので、そちらの記事のリンクもご紹介します。

「調査」派遣、自民にも異論 根拠や戦闘リスク 中東へ自衛隊、検討

(朝日新聞デジタル 2019年10月24日05:00)

 https://www.asahi.com/articles/DA3S14229245.html